2005/06/12

The Big Issue



午後からの野球の待ち合わせは、久しぶりの東銀座だった。今の会社の旧所在地だ。

少し早めに家を出て、オフィス移転前まで足繁く通っていたに向かった。ここのラーメンはどってこたぁないのだが、夏季限定のつけめんが絶品なのだ。

昨年の秋口に訪れたとき、「つけめんおわっちゃったんすよー」といわれた時は、通年だせばいいのにと嘆いたものだ。つけるスープは暖かいのだから。この店最高の品なのだから・・・。

半年の時を経て、そろそろ復活してるかなと期待しつつ暖簾をくぐる。目に飛び込んできたのは「つけめんはじめました」の張り紙。

(・∀・)ヤッタゼ

さっそく食券をゲットし、どかっと着席すると同時に

「麺大盛りで」

と、高鳴る胸をおさえつつ、昨年幾度となくこの場所でリフレインしたフレーズを店員に伝える。すると

「ごはんデスカ?」

ちょっと意表をつかれたイントネーションとその質問内容に、帽子の下から顔をあげてみるとそこには純白のエプロンをつけた、ベベットに似た南米系のおにーさんが。

オレ「いや、麺を大盛りでください」

店員「麺の大盛りは100円デス」

とベベットの指差す券売機を見ると、「麺大盛り100円」のボタンが鈍く光っている。なんてこった。昨年まではつけめんの大盛りはサービスだったのだ。

ふーむと唸りつつ食券を追加購入。変わったのかぁ・・・と思いつつふと店内を見渡してみると、4人いたどの店員の顔にも見覚えがない。

(・_・;) むむ

なんだかヤな予感・・・。

高まる猜疑心を押さえ込みつつ、有楽町駅前のホームレスさんからゲットしたBig Issueを ひろげてみる。前から気になっていたのだが今回初めて購入。Big Issueはイギリス発祥の、ホームレス救済目的で確立された雑誌販売活動で、仕入れた同誌を規定の価格(日本では200円)で販売すればそのうちの何割 かは販売者の儲けになるという仕組みだ(200円のうち110円が販売者の仕組みになる、とのこと。同誌表紙より)。

この雑誌のことをはじめて知ったのは10年ほど前、Oasisが放った強烈なデビュー曲「Supersonic」の一節からだった。

♪ She done it with a doctor
 on a helicopter
 She's sniffin in her tissue
 Sellin' the Big Issue~♪

そ のときに解説か何かを読んで、イギリスにそういう仕組みがあることを知った。そして2年ほど前にBig Issueが日本に上陸すると聞いて、ずっと気になっていたのだ。ホームレスの収入をサポートするだけでなく、彼らの労働意欲を向上するのにすばらしいソ リューションだと思った。

内 容は巷にあふれる今時のフリーペーパーよりもはるかに濃く、とりあげているトピックもシリアスで、非常に読み応えがあった(今号のメイントピックは"ヤ ングライフ・クライシス"と題して、20代後半~30代前半の若者の未婚率および自殺率の高さ、また就職難などについて多角的にレポート)。

ゴシップネタや流行の店などの記事は皆無で、表紙のマライアキャリーのインタビューも彼女の人間性について深く掘り下げたもので、単なるプロモーション的に安易に持ち上げたりもしていない。

うーーーーーん面白い・・・。

しかし周りで読んでいるヒトを見たことがないのだが果たして売れている、というか日本に根付いているのだろうか・・・。

ちょっと感動したのは今日買った時に

「今号からのおまけだよ」

と いって販売員のおじさんがくれた、一枚のA4コピー用紙。「ビスネット通信」と名づけられたその手作りのフライヤーは、Big Issueをとりまく現状や、今号のBig Issueの読みどころ、さらにベンダーズコーナーとして彼ら販売員の近況(売り場を移動しました、等)などでびっしりと埋め尽くされており、その随所に 「俺たちはなんとかしていくんだ」という気概が満ち満ちている。

家も職もなくした人達が、生きて行くのにこれだけ前向きに努力しているのだ・・・。



心震えているとつけめんがやってきた。恋焦がれたその味は、ヤな予感的中でなんの感動も味わえず・・・(・х・)

既に理想化しちゃってたのかなぁ。