2006/03/30

every little effort counts.

数日前、飛行機の格納庫のような巨大なスタジオにて、プロモーション用車両の撮影に立ち会う。5台のクルマを順に撮っていくのだが、これが恐ろしくテマヒマの掛かる作業で。

まずライトを十数基設置。クルマをステージに移動させ、ライト点火。そこから照明さんが時間をかけてライト1台1台を微調整していく。


それだけで軽く1時間。


次に微妙な照り返し効果を得る為の反射紙を周囲に張り巡らす。

そのような微調整を繰り返し繰り返し、そこからやっと照明ディレクターみたいな人がクルマ正面に陣取り、そこからさらに細かい照明位置修正指示を飛ばす。

やっとこさ照明ディレクター様のお許しが出、それからスタッフ総出でクルマを磨く。


もうコレが磨く磨く (´▽`)


フロント、バンパー、ウィンドシールド、ドアミラー、ルーフ、の隅から隅までカメラに写る箇所を丁寧に丹念にゴシゴシピカピカ。この作業だけでおよそ30分。ひえー。


終了後、やっっっっとカメラマン登場。


彼の撮影自体は非常に淡白なもので、カメラはがっしり固定だし、フラッシュも焚かないので「え、もう撮ったの?」と拍子抜けするくらいだ。


しかし。


ここから今プロジェクトのクリエイティブディレクターを船頭に、代理店営業、デザイナー、プロデューサー、アシスタント、などなどなどなど総勢20名オーバー(!)のスタッフが、撮影イメージが映し出される巨大なMACモニターの前に次々と集結。そしてはじまる



あーだこーだ



もーね、これがなんて表現していいかわかんないから、とりあえず「すごい」っていっとく。


すごいんですよ。


クルマの正面図1枚に対してみんなの目の付け所、つっこみどころが。爪楊枝の先端に写りこむ一点の影のカケラ、ほどの超微笑じゃない微小の黒点を、主観から(ホントはアート的セオリーなどに基づいてるんでしょうが)「よろしくないね」「不自然だね」「だみだね」と修正指示が乱れ飛ぶ飛ぶ。



もうね、スーパーデューパーマイクロ。



正直そゆうのになんかね、あきれたりする気持ちがなかったかというとウソになるんです。大の大人が雁首並べて何を言いあってんだか。。。って。


が。この超マイクロな作業は、




「1台でも多く、このクルマを売るぞ」




という超マクロな使命の基に行われるものであって。

その使命の為に皆が力合わせて、持てる技術と知識と体力と、そして忍耐力を注ぎこんで作業を行っているんだなあと・・・。



そうか。




すばらしいじゃないか。




every little effort counts.


フト、電車内でマイミラーをガン見しつつの微調整を3秒に1度行う女子高生たちのことを想う。

そうだ。

彼女たちを駆り立てるのは、同じようにマクロな目的だったんだ。そのための地道な努力だったんだ。





たぶんそうだ。