2006/04/18

ディズニーと、ただ乗り論と

米ABCによる無料番組配信について無邪気に喜んでましたが、なんかヤなことを思いださせるこの記事(CNET)

Walt Disneyは先頃、テレビ番組を無償でダウンロードできるようにするという大胆な計画を発表したが、この動きがケーブル会社や衛星放送プロバイダーに とって厄介な問題を突きつける可能性がある。また、巨額の資金を投じて有料テレビ事業に乗り出そうとしている電話会社の戦略にも疑問の声が挙がっている。

(中略)
JupiterResearchアナリストのJoe Laszlo氏は、Disneyの計画について、「電話会社の長期戦略に対して大きな問題を提起するものだ。

(中略)

しかし、5~10年後にビデオの視聴方法がインターネット中心になってくれば、電話会社はビデオ サービスの価値を維持するために、ほかの方法を探さなくてはならなくなる」と語っている。(全文



梅田望夫氏の「ウェブ進化論」から言葉を借りれば、いまや「あちら側」からコンテンツを発信する側の人間になったのですが、新卒1社目の会社は「こちら側」代表とも言えるアメリカ大手通信事業者でお仕事をしていました。

当時の通信事業者は、その頃にはまだ有効なモデルの出来上がっていなかった(アメリカのNapsterなどごくごく一部を除いて)エンドユーザーによる動画/音楽などのリッチコンテンツの利用をチラつかせて、バカ高い金額で自社のインフラを売りまくっており、そんな彼らの営業ツールなどにはもれなく、「近未来の想像図(笑)」などとして笑顔のファミリーがPCの前で映画を見ている、なんて写真が挿入されてました。


で、時は流れて2006年。


通信事業者の思い描いたとおりリッチコンテンツの活用が進み、彼らのバックボーン上を多種多様かつ莫大なボリュームのビジネスパケットが行き交うようになり、エンドユーザーはその利便性に喜び、数多くの「あちら側」の企業も潤い、めでたしめでたしな時代がやってきたのでした・・・。


が。


突如噴出したこの「インフラただ乗り論」などという馬鹿げた議論。いや、議論というにもおこがましい、ただのイチャモンだ。

インフラただ乗り論とは,インターネット上でビジネスを展開するサービス事業者も設備コストを負担すべきという考え方。例えば,映像配信などを提供する事業者に“ネットワーク利用料”なるものを新たに課すといった方法が考えられる。(全文

・・・。


ジャイアンでもここまで破綻した難癖はつけられないぞ。


回収も出来ない価格で商品を売りまくって、それで実際アカが出たら誰かのせいって。自分たちの費用対効果の見通しの甘さに逆ギレして、自分らはバカで恥知らずですと大声でアピールしているもんだろう。

また,ソフトウエア開発会社ACCESSの荒川亨社長も「インフラが進化しないとユーザーにより良いサービスを提供できない。インフラへのただ乗りは排除すべき」とコメントしている。(全文

ハーア?

誰にとって「いいサービス」だよ。Gyao(開始1年弱で登録者数800万人突破)もSkype(世界中で常時500万ユーザーが利用)も、"いい"サービスだからそれだけ支持されてるんだろうが。

良質のサービスを提供した結果潤っているそれら企業から「ネットワーク利用料」をせしめようなんて、そっちこそが彼らの成功への「ただ乗り」じゃないの???

とまあ雑種路線こちらのブログにも詳しくあるように、いかにも「このままじゃ日本のインターネットはヤバイっす」と騒いでおいて、結局は自分たちが作り出せなかった課金/広告収入モデルで他企業が成功したのをやっかんでいるだけの話だ。