再会
今晩は懐かしい顔ぶれに会うことが出来た。
オーストラリアに長期転勤となっていた元同僚K氏が日本に帰国。約3年ぶりの再会だった。
部は違ったが年齢が近いこともあり、社会人になりたてのオレにK氏はとてもよくしてくれた。今考えると、ありえないくらいに非常識で大胆で無知だったオレに、社会人として生きていくのに必要なことを、とても忍耐強く、驕りなく教えてくれたのが彼だった。
当 時、彼の部に突然降って沸いた海外転勤という名の、事実上のリストラ。誰がどう考えても、200%理不尽なハナシだった。その時、海外生活経験者だって ことだけで、K氏はオレに色々なアドバイスを尋ねてきた。それまでのお返しの意味を込めて、出来るだけ客観的に、現実的に、成人を過ぎて英語スキルも土地 勘もない日本人が英語圏で生活していくためのTipを、話したりしていた。
数日後、彼は前向きにそのオファーを受け、オーストラリアに行くことを決断した。
いつでも笑顔を見せることの出来る、大人な人だった。学生アガリの当時はそれが節操のなさに思え、軽蔑もしたものだったが本当の大人とは、誰も笑えない時に思いっきり笑うものだと、教えてもらった。
転 勤組の送別会は進んで幹事をやらせてもらった。新宿にある、ベッドルームほどの広さのキャバレーを借り切り、40人ほど詰め込んで盛大に祝った。そこで も、心の奥の寂しさ、やりきれなさが溢れんばかりだったであろうにもかかわらず、彼は爆発するような笑顔で周りを笑わせていた。その笑顔は数日後、見送り に行っ た空港で出発ゲートをくぐる最後の最後まで消えなかった。
今晩再会して彼のエネルギーはさらに強まっていた。圧倒された。前と変わらず、彼が繰り返し使う言葉は
「これからだ」。
そして、笑う。
思った。
実は彼は、本当にどのシチュエーションも楽しんでたんだと。
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