2006/01/24

オールドメディア視点

日本全国の善良な市民と、善良じゃない策略家のセンセイたちから散々叩かれた上、逮捕された堀江氏。


彼の会社がまだ「オンザエッヂ」だった2000年当時、一度お会いしたことがあります。


同社が「データホテル」というコロケーションサービスを開始するにあたり、当時ぼくが働いていたインターネット回線を売る会社のデータセンターサービスを、それこそ我々にとって「想定外」といえる規模で発注されてきました。

オ ンザエッジ社は一気にわが社の国内トップクライアントのひとつとなりましたが、その当時でさえ社内の誰もが彼と彼の会社が何をしようとしているのか、不 可思議に思っていたものです。2000年ごろの日本はまだ、新しいネットビジネスが立ち上がっては消えていた毎日だったので、大口受注を受けた数ヵ月後に 同じ会社が倒産、支払いをしてもらえないなんてことも少なからずありました。

堀江氏のオンザエッジからもまあホントに大丈夫かなあと、心配するほど強気な規模の発注を頂きましたが案の定、サービス導入して課金が始まる次の月には早速、マケてもらえないかと相談されてきたようです。

そんなこんなで、少なからずもエッジ社とはややもちつもたれつ的な関係があったことから(かな)、堀江氏がウチに赴いてサービス説明をするということもありました。

お会いする前には「やけに強気なワンマン社長」、という今と全く変わらないイメージをもっていましたが、実際に会った刹那、


(・д・) 感じわるっ


とケギライに近い感覚を抱きました。

今と変わらぬTシャツ+ジーンズのようなラフラフないでたちに、相手を選ばずタメ口トーク。なにより、どこも捉えないような、どこか虚ろ(に見える)目線が、彼を酷く無気力な青年に見せていました。とにかく堀江氏は第一印象で好かれるタイプではなかった。


そ の後、スポーツ紙を賑わし始めたあたりから一気にその存在は全国区になり、ラ イブドアという会社自体のビジネスと、堀江氏のキャラクターについて批評も噴出しましたが、現代のメディアとその先のオーディエンスの使い方が従来の オールドエコノミーと呼ばれる企業の代表者たちとは一線を画しており(決して巧みではないんだけど)、新しい風を吹き込んでいるなあと感心し、いつしか心 の中でひっそり彼にエールを送るようになりました。

そんな彼が「法を犯した」ことはまあとても褒められたものではないんだけど、それでも 強制捜査となった瞬間にこれまでの話を掘り返して叩きまくるマスコミ の報道ぶりはおかしくないかな。そこまで大々的に取り上げるべきことなのか?そしてそこまで徹底的に叩くべきことなのか?

強制調査の翌日にKNNの神田氏が以下のように書いている。

ラ イブドアの取引違反の嫌疑がかけられているだけで、まだ調査中でありながらも、不明朗な錬金術や、法律スレスレの行為、ひいては100分割によって個人 投資家の射幸心をあおり、証券システムに必要以上の負荷を与えているという言いがかりまでつけられている。それらは今回の捜査にはまったく筋の違う話だ。 これらを一緒にして、「だから、いわんこっちゃない」的な報道こそ、合理的根拠のない「風説の流布」ではないだろうか?

(中略)

ネッ ト時代の先端企業が直面した今回の問題は、日本のネット産業とオールドエコノミーとの確執的な問題点としか思えない。ネット産業の急激な変化は、やは りそのスピードに対応できないオールドエコノミーの最後のあえぎ声であり、ねたみの感情的な言いがかりであるような気がしてならない。

ともあれ、堀江氏逮捕となったけど彼のことだからまた舞台表に復帰するでしょうね、大々的に。「敗者復活」的ストーリー大好きニッポンでは、講演+執筆依頼は殺到するだろし。