endurance
また朝が来る。
同じ時間、見慣れた景色、順応した?カラダ。まだ作業は続く。
素材は30時間前に全て出来上がって揃っている。何かがうまくいかない。
全ての時間、全てのリソースはデバッギングに投入。通常なら決してありえないこのデバッグ諸要時間。ウチが発注したNYオフィスが、さらに発注したインドのCG制作会社が、さらにその先に発注した、ボスニアにある孫CG会社が上げてきたこのCG。何もかもが違う。クオリティの低さを嘆くのはもう10日前の出来事。納品形態の劣悪さにインドの社長を罵倒したのが7日前。全てのファイルを奴等から引き上げ、社内チームでテコ入れはじめたのがそれから。そして瞬く間に「一般公開可能な」レベル"2歩手前"まで漕ぎ着けたのが5日前。
同時進行で、不足ファイルの制作に現場が悲鳴を上げながらも尋常じゃないスピードで開発していったのが4日前。それらが揃い出したのが3日前。全てのファイルをつなげ、動作確認作業(デバッグ)開始したのが2日前。ここで足踏みー。
目処さえ立たない作業ほど、苦痛なものはない。激昂するクライアントに、できる申し立てもなく只管延命措置に奔走する代理店。その代理店から、ほぼ闇雲だけども致し方ないスケジュールを突きつけられるのが我々プロデューサー。生命の神秘を感じずには居られないほどの活動時間を見せ付けながら、ギリギリのところで解決策を探り修正を加えていくデヴェロッパーおよびフラッシュ制作担当者。
はっきり言ってこのオフィス、このチームの1メートル上空にはグレイの重苦しい分厚い雲が漂ってる。今、頭が明快に動いている人なんて誰もいない。
プロデューサー2人+プロジェクトマネージャー1人、そして制作担当として抜擢したNYチーム。これだけで動き出したのはちょうど7月の下旬、群馬の山奥へ合宿に出発する当日だった。朝までかけてNYを口説き落として、彼らから受注の確約を得ることでプロジェクト成功の確信をチラリと見た気がしたのがあの日。
それが取り返しのつかない、最初の大きな誤りだった。2つ目の大きな誤りは、それを誤りと確信するのに、時間が掛かりすぎた。
それが今は前述の、社内にて「神」と呼ばれるデヴェロッパー、フラッシャー、アートディレクターにデザイナー。そして昨日の朝の時点でさらに1人フラッシャーとデヴェロッパーを緊急追加招集。さらに代理店担当者も3人、おとといの夜からつきっきりで社内で緊急対応頂いている。総勢12名のチームが、最早利益確保なんてとっくに幻想と化したこのプロジェクトに心血を注いでいる。とにかく、前へ。
傾きを見せ始めた7月の終わり頃から、このプロジェクトにおいて前向きな感触なんてただひとつもなかった。常に不安と猜疑心と落胆に包まれてた。いや、前向きな感触はあったけど、それらの中でただの1つも、期待に沿ったものはなかった。
それが今、やっと生まれようとしてる。動き出そうとしてる。
当たり前のことなのに、制作物が、納品物が、「出来上がる」ということがこんなにも嬉しいと感じられるのは初めて。昨日の時点で一瞬うまく行った、ほんの一部の動作確認。思わず悲鳴を上げて喜んだ。会って、チームに入っていただいてほんの8時間程経っただけの外部のスタッフさんと、熱く固く握手。笑顔も久しぶりに出た気がした。
そこからまた、二転三転いまだデバッグ中だけども、妥協点をふんだんに散りばめまくったそれだけども、着地点は見えた。初めて、進んでいる先に、グレイの分厚い雲の合間から、頂が見えた。
もう楽観視なんてひとつもしないけど、希望は前に進むための何よりの力になる。希望がなく感じられた週の半ば、それでも進まなければならないあの感覚は、苦痛でしかなかった。
もう少し、かな。
もう少しじゃなかったら、それでも落胆するのはもうやめよう。
同じ時間、見慣れた景色、順応した?カラダ。まだ作業は続く。
素材は30時間前に全て出来上がって揃っている。何かがうまくいかない。
全ての時間、全てのリソースはデバッギングに投入。通常なら決してありえないこのデバッグ諸要時間。ウチが発注したNYオフィスが、さらに発注したインドのCG制作会社が、さらにその先に発注した、ボスニアにある孫CG会社が上げてきたこのCG。何もかもが違う。クオリティの低さを嘆くのはもう10日前の出来事。納品形態の劣悪さにインドの社長を罵倒したのが7日前。全てのファイルを奴等から引き上げ、社内チームでテコ入れはじめたのがそれから。そして瞬く間に「一般公開可能な」レベル"2歩手前"まで漕ぎ着けたのが5日前。
同時進行で、不足ファイルの制作に現場が悲鳴を上げながらも尋常じゃないスピードで開発していったのが4日前。それらが揃い出したのが3日前。全てのファイルをつなげ、動作確認作業(デバッグ)開始したのが2日前。ここで足踏みー。
目処さえ立たない作業ほど、苦痛なものはない。激昂するクライアントに、できる申し立てもなく只管延命措置に奔走する代理店。その代理店から、ほぼ闇雲だけども致し方ないスケジュールを突きつけられるのが我々プロデューサー。生命の神秘を感じずには居られないほどの活動時間を見せ付けながら、ギリギリのところで解決策を探り修正を加えていくデヴェロッパーおよびフラッシュ制作担当者。
はっきり言ってこのオフィス、このチームの1メートル上空にはグレイの重苦しい分厚い雲が漂ってる。今、頭が明快に動いている人なんて誰もいない。
プロデューサー2人+プロジェクトマネージャー1人、そして制作担当として抜擢したNYチーム。これだけで動き出したのはちょうど7月の下旬、群馬の山奥へ合宿に出発する当日だった。朝までかけてNYを口説き落として、彼らから受注の確約を得ることでプロジェクト成功の確信をチラリと見た気がしたのがあの日。
それが取り返しのつかない、最初の大きな誤りだった。2つ目の大きな誤りは、それを誤りと確信するのに、時間が掛かりすぎた。
それが今は前述の、社内にて「神」と呼ばれるデヴェロッパー、フラッシャー、アートディレクターにデザイナー。そして昨日の朝の時点でさらに1人フラッシャーとデヴェロッパーを緊急追加招集。さらに代理店担当者も3人、おとといの夜からつきっきりで社内で緊急対応頂いている。総勢12名のチームが、最早利益確保なんてとっくに幻想と化したこのプロジェクトに心血を注いでいる。とにかく、前へ。
傾きを見せ始めた7月の終わり頃から、このプロジェクトにおいて前向きな感触なんてただひとつもなかった。常に不安と猜疑心と落胆に包まれてた。いや、前向きな感触はあったけど、それらの中でただの1つも、期待に沿ったものはなかった。
それが今、やっと生まれようとしてる。動き出そうとしてる。
当たり前のことなのに、制作物が、納品物が、「出来上がる」ということがこんなにも嬉しいと感じられるのは初めて。昨日の時点で一瞬うまく行った、ほんの一部の動作確認。思わず悲鳴を上げて喜んだ。会って、チームに入っていただいてほんの8時間程経っただけの外部のスタッフさんと、熱く固く握手。笑顔も久しぶりに出た気がした。
そこからまた、二転三転いまだデバッグ中だけども、妥協点をふんだんに散りばめまくったそれだけども、着地点は見えた。初めて、進んでいる先に、グレイの分厚い雲の合間から、頂が見えた。
もう楽観視なんてひとつもしないけど、希望は前に進むための何よりの力になる。希望がなく感じられた週の半ば、それでも進まなければならないあの感覚は、苦痛でしかなかった。
もう少し、かな。
もう少しじゃなかったら、それでも落胆するのはもうやめよう。
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